《たとえ話》で直観的に分かる物理の考え方
4号
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こんにちは、予備校講師の田原です。
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今週から読み始めたみなさん。バックナンバーを見てくださいね。第1号から話が続いているので、順番に見てくれると、分かりやすいと思います。
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今回登録してくださった皆様、ありがとうございます!
このメールマガジンは、僕が予備校の授業で実際に話している「たとえ話」などを中心に配信します。
なぜ、たとえ話をするかと言うと、数式を使って物理を始める前に、「物理は、こんなことをやりたいんだ」というイメージを描くことができれば、分かりやす
さが格段にアップするからです。
物理を難しくしている大きな原因は、その背景にある考え方を知らない点にあるのです。
みなさんが物理に抱いているイメージを、このメルマガで、変えられたらうれしいなと思っています。
では、第4号のスタートです!
■運動方程式が力学の原理です!
第3号まで、3回にわたり、処理能力の弱い脳を持った人間が自然を理解するための工夫についてお話してきました。
(
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自然が持っている膨大な情報を、規則性を見抜くことによって、原理という形へと圧縮してから、頭に入れるのでしたね。
自然現象を予想するときには、この逆をやればよいのです。
原理から法則へと展開して、それぞれの法則から現象を説明していくのです。
このようにすれば、全ての自然現象を「原理」一つから説明できます。
力学における原理は、運動方程式と呼ばれる式です。
質量をM、加速度をa、力をFとして、
Ma=F
と表されるとてもシンプルな式です。
これは、創刊号で書いた「先割れスプーン」に相当する式です。
(創刊号はコチラ)
僕は、「力学のマスター」=「全ての力学現象を、Ma=Fだけから解けるという信念を持つ」
ということだと思っています。
今回は、力学をマスターするということはどういうことなのかを、たとえ話にしました。
では、たとえ話モードへ突入!
★「100題修行!」★
物理講師の僕(田原)が、力学を受験生に教えるための特別講座を開きました。
僕は、その講座を通して、「力学とは何か」を分かってもらいたいと思っています。
申し込みは200人ありました。
大会場を借り、マイクを使って講義をすることにしました。
僕は、「力学とは何か」を伝えるために100題の問題を用意しています。
まず、1題目の問題を配布します。
そして、マイクで呼びかけます。
「必ず、運動方程式から法則を導いて問題を解いてください!」
それほど難しい問題ではなかったので、10分後に全員が解き終わりました。
それを見て、僕は壇上から問いかけます。
「どんな問題でも、運動方程式から法則を導いて解くことができると思う人は手を上げてください!」
1題解いただけでは、そう思えなかったのでしょう。手を上げる人は一人もいませんでした。
続いて、2題目の問題を配布しました。
そして、先ほどと同じように呼びかけます。
「必ず、運動方程式から法則を導いて問題を解いてください!」
しばらくして、全員が問題を解き終わったのを確認して、また、僕は問いかけます。
「どんな問題でも、運動方程式から法則を導いて解くことができると思う人は手を上げてください!」
今度は、2人が手を上げました。
‥‥‥
1週間、同じことを繰り返しました。
58題目の問題を解き終わったとき、また、問いかけました。
「どんな問題でも、運動方程式から法則を導いて解くことができると思う人は手を上げてください!」
188人が手を上げました。残りは12人です。
それを見て、僕は、もう少しだ!と気合が入りました。
10日経った最終日に、100題目の問題を解き終わりました。
99題目を解き終わったときには、199人がすでに手を上げていました。
残りは一人です。
僕は、その最後に残った、メガネをかけた細身の受験生の顔を見ながら、また、あの言葉を繰り返しました。
「どんな問題でも、運動方程式から法則を導いて解くことができると思う人は手を上げてください!」
199人はすぐ手を上げました。最後に残った彼は、目を閉じて考えているようでしたが、やがて、ゆっくりと手を上げました。
僕の特別講義が、成功を収めた瞬間でした。
彼らは、100題の問題を運動方程式から導いて解くという経験を通して、これから出会う無限個の問題についても、同じやり方で取り組む決意を固めたので
す。
これこそ、僕が、講座を通して、受講者に伝えたかったことです。
彼らは、この後、超難問にぶつかるかもしれません。
でも、彼らが解法を迷うということはありません。
なぜなら、彼らは、「100題修行」を経て、信念を築き上げた人たちだからです。
自信を持って、少なくともここまでは正しいはず!と思いながら、一行目に運動方程式を書きます。
そして、心の中でつぶやきます。
「この式から法則を導いて、必ず解けるはずだ!」
★たとえ話終了★
僕が予備校の授業で1年間を通じてやっていることは、いってみれば、この「100題修行」のようなものですね。
信念なんていうものは、そう簡単に築かれるものではないから、100題くらい解く経験が必要なんです。
100題解いている途中で、手を上げなかった人が、手を上げるようになります。
この不連続性が物理学習の特徴です。
最初から手を上げることはできません。
でも、手を上げてしまえば、その後は、どんどんできるようになります。
物理って、そういうものだと思います。
★面白サイト紹介
インターネットって、簡単に「これ面白いから見て!」ということができるからいいですよね。
第3号では「風で動くロボット」というものを紹介しましたが、今回は、「boid(ボイド)」という鳥の群れのシュミレーションを紹介します。
これは、1989年にクレイグ・レイノルズによって作りだされた人工生命のモデルです。鳥の群の動きをシュミレーションする「鳥もどき」
(birdoid)が縮まってボイド(boid)と名づけられました。
それぞれの鳥は、単純なルールに従って動いています。
基本ルールは次の3つです。
1.近くにいる仲間と衝突しないようにする。
2.近くにいる仲間と動きを合わせようとする。
3.群の中心に向かおうとする。
とても単純なルールなのですが、実際にプログラムを作って走らせると、「群れらしさ」が、かなり再現されるのです。
群れの前に障害物が現れると、群れが2手に分かれて、再び合流する!
なんてことだって、簡単にやってのけます。
「簡単なルールに従って動いている鳥」の単なる総和以上のものが、「その集合体である群れ」に現れているように見えます。
大学受験の物理では、部分の総和として全体を理解できるものしか扱いませんが、全ての現象が、そのやり方で理解できるわけではないのですね。
boid(ボイド)のシュミレーションが見れるのは↓こちらです。
http://members.ozemail.com.au/~dcrombie/project/applet.html
(パソコンからしか見れないので、パソコンを持っている人はそちらから見てください。携帯からのみなさん、ごめんなさい。)
マウスでクリックすると、好きな位置に障害物を作ることができるので、それをうまく回避する様子を楽しんでください。
かなり、できがよいプログラムです。
■編集後記
第3号を読んだ読者の方から、「風で動くロボット」の感想メールをいただきました。
>宮崎アニメが現実になったって感じでした。
というものでした。そう言われてしまえば、そう見えてしまいますね。
その「宮崎アニメが現実になったようなロボット」は↓これです。(PCから見てくださいね)
http://www.strandbeest.com/movies.html
面白いサイトを知っていたら、メールで教えてくださいね。
第4号を読んだ感想もお待ちしています。
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