《たとえ話》で直観的に分かる物理の考え方
8号

このメールマガジンはPC版「楽しい《たとえ話》で直観的に分かる物理の考え方」を携帯でも読めるようにしたものです。長文ですので画面メモをして読むこ とをお勧めします。
こんにちは、予備校講師の田原です。
 
「物理Web講座」が、かなり盛り上がってきました。

申し込みのさいにいただいたコメントのいくつかを紹介しますね。


★Niさん
今年から物理を履修する高二生です。
一年の時に理科総合で力学の基礎を勉強したのですが、> 授業も分かり難く、設問は単に公式を覚えて当てはめるだけだったので、そのイメージをひっくり返す講座を期待しています!
学校でまだ微積を履修していないので、微積物理メルマガの方で微積の意味・定義等を解説していただければ幸いです。

★かつべーさん
高校でも物理を選択していませんでしたし、数学も得意ではありませんでしたが、>物理学への興味は非常にあって相対性理論や量子力学の一般向けの解 説本をよく読んでいました、そのうちに本格的に物理を勉強しようと思うようになったのですが基礎ができていません。自分で高校の参考書など買ってはみたの ですが、長続きしません。講座ならやっていけるのではないかと希望をもって申し込みさせていただいています。よろしくお願いします。
無料でこのような講座を開かれるというのは大変なご苦労だと思います。感謝しております。

★K^2さん
田原様 はじめまして k^2と申します。今回の無料体験講座に共感を覚えつつも、こんな年でいまさらなーと考えて申し込みを躊躇しておりましたが、何と 私などよりずっと年配の方が申し込まれているではありませんか。これは私も申し込まないでどうするということで始めることといたしました。
おそらく先生の熱意に皆揺さぶられたのだと思います。
とは言うものの、先生のメルマガのひとつである{たとえ話・・}の内容はともかく、微積分まで使った物理についていけるのかなーというのが実感です。
しかしながら、高校生のころ物理は好きな科目ではありましたので、もう一度その世界に入って何か見つけたいと思っております。
私の子供はまだ小学生ですが、いつか物理というものをわかりやすく、そして面白みを感じさせられるように教えることができたらとも考えています。
それではよろしくお願いします。


紹介したコメントでも分かるように、受験生だけでなく、たくさんの社会人 の方が、物理を学びたいということで登録して下さっています。

しかも、真剣なメッセージを送ってくれます。

こういうのって、なんだかいいですね。

物理Web講座が、年齢に関係なく、みんなで物理の楽しさを共有できる場になればいいなと思っています。


受講者のみなさんの顔がはっきりと見えてきました。これまでにいただいたコメントを読んでから、第0講の実況講義を仕上げました。


物理Web講座が、スタートです。


できるだけ多くの人に、実況講義の良さを知って欲しいと思い、特別に、第0講のみ、登録をしなくても読めるようにしました。
(すみません、パソコンからしか読めません)

第0講では、僕が物理に対して抱いているイメージを、数式を使わずに説明しています。

これを読むと、「物理とは何なのか」が、すっきりと分かります。


このメルマガの読者さんで、パソコンをお持ちの方は、全員読んでくださいね。


コチラから第0講が読めます→ http://rikasougou.com/muryo.html


第1講から第15講の実況講義を読んで勉強するには、登録が必要ですので、第0講を読んで、やってみたいなと思ったら、申し込んでくださいね。


物理Web講座は、無料です。


力学を全範囲やります。


質問もできます。


初心者の皆さんも、どんどん参加して下さい。


申し込みはコチラです→ http://rikasougou.com/muryo.html




それでは、第8号のスタートです!

■質量は「速度の変化のしにくさ」、重さじゃないよ!

第7号では、運動方程式について説明しました。
こちらです。

その中で、質量Mについて、

「Mは速度の変化のしにくさ。重さじゃないよ!」

と説明しましたよね。

運動方程式

Ma=F

の左辺に書いてあるMは、「慣性質量」と呼ばれている量です。
「慣性」という言葉は、それまでの運動を引き続き行うという意味ですから、ここに、「速度の変化のしにくさ」という意味が込められています。

今日のたとえ話は、「慣性質量」についてです。

それでは、たとえ話モードへ突入!

★「スペースシャトルでハイタッチ」★

スペースシャトル・ガリレオ号が、地球を周回し始めてから、今日で1週間が経ちました。

宇宙飛行士のケンジとジョージは、朝からそわそわしています。

今日の正午に、故障した原子炉衛星を、ロボットアームで捕まえて回収するという難しい任務を控えているからです。

NASAでのトレーニングではうまくいきましたが、宇宙での作業にはアクシデントがつきものです。

万一失敗したら、地上へ落下してしまうかもしれません。


ケンジがスペースシャトルを操縦し、ジョージがロボットアームを操ります。

2人の息が合わないと絶対に成功しません。



11時45分になりました。



ここでアクシデントが発生しました。ロボットアームを格納している扉が開かないのです。

ケンジ:「スペースシャトルを自動操縦にしよう。僕が宇宙に出て開けにいく。」

ジョージ:「だが、それは危険すぎる。自動操縦にしたら、一回でつかめなかったときに、再接近することができないじゃないか。」

ケンジ:「でも、それしかない。ジョージなら一回でできるさ。」

ジョージ:「‥‥」

ジョージ:「分かった。やろう。ケンジも気をつけて」


というわけで、ケンジが、宇宙服を着て船外に出ました。命綱を頼りに、宇宙遊泳をしながら、扉のところまでいきました。

扉を見ると、小さな隕石が衝突した跡があり、そのせいで鉄板が曲がって開かなくなっています。

ケンジは、小さなドリルを取り出し、鉄板に穴を開け、扉を開こうとしました。

でも、なかなか開きません。

そうこうしているうちに、原子炉衛星の姿が大きくなってきました。

時計を見ると、11時55分です。ケンジは、必死でドリルを回しました。

原子炉衛星は、もう直ぐそこまで来ています。


一方、ジョージは、ロボットアームの操縦桿を握り締めながらじりじりしていました。

ロボットアームを伸ばし、原子炉衛星を掴むまでに、どんなにうまくいっても3分はかかります。

もうタイムリミットです。



突然、扉が外れました。時計を見ると11時56分です。

ジョージは大急ぎで、ロボットアームを伸ばし、原子炉衛星のフレーム部分をロボットアームの「指」で掴みにいきました。

アームの長さと、開いている「指」の角度を、大急ぎで調整し「掴む」ボタンを押しました。

時計は、11時59分を指しています。

「ギー」(宇宙では音はしません)

と、「指」が原子炉衛星を掴みました。アームはいっぱいに伸びていました。
本当にギリギリのところでした。

ジョージは、ほっとため息をついて、そのまま、スペースシャトルへ衛星を収容しました。



そこへ、ケンジが戻ってきました。



「やったなジョージ」

「ケンジ! グッドジョブ!」


2人は船室の中央でハイタッチをしました。
下の図のような感じです。
     
  F←→F
   〇/\〇
   |  |
 /   \
ケンジ ジョージ

このとき、2人の手を通して、同じ大きさの力Fが、互いに逆向きにはたらきました。
無重力の船内に浮かんでいた二人は、その力によって両側に動き出しました。

小柄なケンジに比べて、ジョージはもとアメフト選手で大柄です。

ケンジが、すごい速さで後ろに下がっていくのに、ジョージの速さはそんなに速くありません。
     
     〇/ \〇
2v ←|    | →v
   /    \
   ケンジ  ジョージ
   60kg      ?kg

速さの比は、およそ2:1でした。
体重60Kgのケンジは、後ろに移動しながら、急に冷静になってつぶやきました。

「ジョージって120Kgもあるのか」

★たとえ話終了★

質量は「速度の変化のしにくさ」でしたよね。

そして、力は「速度を変化させるもの」でした。

ケンジとジョージは、ハイタッチする前にはほとんど静止していました。

そして、ハイタッチの瞬間、二人には同じ大きさの力Fが、手に加えられました。

その力Fによって、2人の速度は0から変化して動き出しました。

同じ力が加えられたのにも関わらず、ケンジに比べて、ジョージの速さは1/2でした。

この違いはどこから来ているのでしょう。

力の大きさは同じでも、その力によって生じる速度の変化のしにくさ、つまり、質量がケンジとジョージでは異なったのです。

ジョージの方が速度が2倍変化しにくい、つまり、質量が2倍大きかったのです。

ケンジは、ジョージと自分の運動の様子を見て、その速さの比から、ジョージの質量が自分の2倍であることが分かったのです。

質量を間違ってイメージしそうになったら、この話を思い出して下さいね。


■編集後記

先週から、予備校の新学期が始まりました。

最初の授業で気を使うのは、実は「キャラ設定」だったりします。

「まじめキャラ」で入ってしまうと、後になって、いくら冗談を言っても、「無理しちゃって」みたいになって、どうにもならなくなります。

そうなると、90分間、青筋を立てて物理を教える羽目になり、非常に苦しい1年をおくることになります。

というわけで、「確実に笑いの取れるネタ」を懐に抱えて、いざ、最初の授業に出陣するわけです。

でも、それが滑ったら、別の意味で、一年間、目も当てられない状況になります (^^;

今年は、とりあえず、全ての授業で、それなりに笑いが取れ、無事にスタートを切ることができました。


よかったです。(しみじみ)


第8号を読んだ感想をお待ちしています。


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